2011年10月13日木曜日

家族療法‐4 家族ライフサイクル

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*フィードバックの返却&質問へのこたえ

(質問)家族図と家系図は同じですか?

家系図は完全に誰が夫婦で、子供でとは書いてありますが、
 それ以上その人の性格や細かい情報は入らないですよね。
書いてくださった方の中で良い説明があっりまして
(ジェノグラムをみると)「住んでいる家族の気持ちが分かる」と
これ、もうちょっと早かったらいま書いている本に使わせていただきたいなと

(質問)(聞きそびれた)

ミラノ派では家族の「現在」しかみない、
ジェノグラムなどは書かないということもありますが、
システム的に見るためにジェノグラムを使おうというのは、
家族療法の中で最近統合的になっている流れの中で、
ジェノグラムは家族の奥行きを理解するために重要ですねと
-過去が見えて現在とつながる。

これがどう未来につながっていくか、という視点が持てる。

若い世代が今後親になって言ったときの関係の持ち方が何か見えてくる?
誰の何を取り込んでいくか、と言うのは立場や性差で変わってくるかもしれませんが、
例えば喧嘩の多い家族、和やかな家族とあったとして-意見の表明の仕方などは、
環境の影響を受けてそのまま踏襲、あるいは正反対にかもしれないが、
そこからなにかを学び取る。
ですので、家族療法では「仮説」を持つことはする、
しかし「絶対に」ということは当然いえない。

(質問)面接中にジェノグラムを書くと面接が情報収集的になって悪影響があるのではないか?

ありえますね、これは。

(質問)クライエントが自ら話すようになり、それをジェノグラムに書いていくのですか?

面接はあくあまでクライエントの関係をつくって、
カウンセラーとやり取りしたいという事が基本ですから、その関係の中で徐々に聞いていく。
だから全部を一度に聞くなんていうのは無理です。
そんなことをしたら次回からもう来ません、と。

(質問)IPは誰なのか、いつ判断するんですか?
カウンセラーが思うIPとクライエント家族が思うIPは異なることもあるのでは?


家族の中で不登校なり何なりで問題を抱えている、となると、
その子を問題を抱えているとみなしてカウンセリングにつれてくるということがありますが、
その場合に、その子どもがIPかどうかは分からない。

しかし家族が思っていることも否定はせず、
また、自分の考えも否定せず、どこでそれを語るかも状況を見ながら。

もう一つ、この前いったかもしれませんが、IPが変わる、という可能性もあります。
一つの問題が片付いた後に、他のメンバーが問題を起こすという事もある。
大きな問題があると、別のところにみんなの目がいっていなかったということもありえる。


では、今日は「家族ライフサイクル」にいきます。
*プリント配布(両面で来週も)

個人のライフサイクルはご存知ですね。(E.H.エリクソン)
家族も人と同じように成長、発達していく、という考え方です。
この何段階に分けるか、は他の場合もあるが

典型的な家族システムの中での
 家族ライフサイクル6段階
Carter,B & McGoldrick,M (1989) p.15 および石井(2005p.132より)

1.家からの巣立ち(独身の若い成人期)
発達課題:
・若い成人が原家族から自己分化する。
・親密な仲間関係の発達
・職業面での自己確立

2.結婚による両家族の結合(新婚期・家族の成立期)
発達課題:
・夫婦システムの形成(例えば正月の過ごし方という習慣について)
・拡大家族と友人関係の再編成(拡大家族:夫婦のそれぞれの家族との関係など

3.幼い子供を育てる時期(家族の拡張期)
発達課題:
・子供を包含するシステムの形成
・親役割への適応(子育て、家事、家計)
・拡大家族との新たな関係の調整
(祖父母-孫の関係が出来る、姑-嫁との関係性の違い)

4.青年期の子供のいる時期(家族の拡散期)
発達課題:
・柔軟な家族境界(親がすべてに目を行き届かせられない)
・中年の夫婦関係と職業上の再編成
・高齢の世代(親・祖父母世代)の世話

5.子供の巣立ちとそれに続く時期(家族の回帰期)
発達課題:
・夫婦システムの再編成(再び夫婦だけの生活など)
・成人した子供との大人同士の関係構築
・義理の親や孫を含む関係性の再編成
(「サンドウィッチ・ジェネレーション」という言い方)
・高齢世代の障害や死への対処

6.老年期の家族の時期(家族の交替期)
発達課題:
・生理的な老化を受け止めて機能する
・次の世代に中心的な役割を譲る
・高齢世代へのサポートのために、智恵を見いだしたり、体験を生かす
・家族の死、自分の死への準備(ライフレビュー(人生の語り)を聞くことが助けになる)


○家族ライフサイクルの視点を用いる利点

家族の臨床的問題の多くは
 一つの発達段階から次へと移行する時に生じる障害とみなすのが
 もっとも理解しやすい
・カウンセラーや援助者が、提示される問題を共感的に理解しやすくなる
・症状をライフサイクルの発達的問題としてノーマライズすることで、リフレーミングできる
家族をつなぐ機能を誰が担っているのかという視点から、
 家族全体が各段階で柔軟に動くのを支えることが出来る。

これは、非常に常識的のものですが、見取り図として役に立つ。
 

では、来週はグループで今回とりあげた家族をつかって「家族造形法」をやりましょう。

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