2011年9月28日水曜日

近世史との対話-1オリエンテーション

4 151教室

●前期の振り返り

・近世史との対話
西ヨーロッパの近世
とくにルネサンス
(時代区分の話-ケラリウス)

近代はいつから始まるといえるでしょうか?

1945年の世界大戦終結意向
1989年の東西冷戦体制崩壊
1914年の世界大戦期に入ってから-

○近世とは
【辞書】ヨーロッパ史では、ルネサンスから絶対王政期、日本史では江戸時代(安土桃山時代を含む場合もある)を指す。

中世が500から1500年くらいから。
と、すると、1500年からの500年以上、を一つのまとまりとするにはアバウトすぎるのではないか、と
ということで、現代と中世の間の「近代」をもう少し細かくという事で、
「近世」と「近代」に分けられた。
これ、英語にすると分かりやすいですよね。
近世(Early modern)=初期近代

近世=1500年ころ~1800年ころ(16世紀から18世紀)
・フランス革命1789年-99―近世の終焉
終りの象徴的な出来事はこれですよね。

では、始まりの象徴的な出来事はなんでしょうか。
・ルネサンス
中世から新しい時代への「幕開け」

3点セット
・ルネサンス
・大航海時代
・宗教改革

こう見ますと、近世は、近代を築き上げていく、大事な「転換期」という事になります。
ですから、いまでも歴史学でも注目される時代です。


問題は、近世から近代への転換、と。
新しい時代をもたらすきっかけになったというのは-
ここが歴史の見方の重要な-

では、なぜ近代が重視するに値するのか。
近代というのは、結局、欧州史だけでなく世界史的なポイントで-
「近代」―ヨーロッパが世界史の中心となっていく時代
ヨーロッパの問題に関わらず、近代社会、社会の近代化とは、

今なお近代化は世界の問題であり、日本は欧米へと追いつけ追い越せで近代化を遂げましたが
アジア・アフリカの国では、今まさに近代化を遂げようということが起こっている。

近代化のポイント
・工業化(物の生産の合理化)―資本主義化
・民主化
・人間中心主義(ヒューマニズム)
・個人主義(自由主義)
欧州でいち早く始まった近代化は、現代社会にも大いに関係がある特色が見出される。

ということで、近世から近代の転換期、
上記の近代の諸特徴をもたらした時期としてとっても大事だよ、ということになる。

さて、そこでルネサンス
ルネサンスとは何なのか。
14世紀から16世紀にかけてイタリアから 
 ヨーロッパの広い地域に拡大した文化的運動
(参考:ペトラルカ)
つまり、中世から近世への転換をもたらした出来事。

しかし、この「中世から近世へ」という時代の転換のありさま、が問題で。
そこをみんなで考えたいと。
中世から近世への転換=ルネサンス、と昔から理解されているが、
では、どういうふうに転換したの?と思われてきたのか。

例えば、おなじみ山川出版社の教科書
ルネサンスはどのように書かれているか。
「近代ヨーロッパの誕生」の章に含まれていまして
「カトリック教会の権威と封建制度に抑えられていた中世社会に新しい時代を告げる-」
ここには中世の閉塞的なイメージがありますが、
そこに風穴を開けた出来事としてのルネサンス、と捉えられている。


中世のイメージとして-
キリスト教会(カトリック)の厳しい体制
封建制度 
(領主と農民の支配従属関係、君主と家臣の契約関係(平たく言えば上下関係)、自由の抑圧)

そこから、近世・近代
結局、ここで、個人主義であるとか、人間中心であるとか、中世からの解放というんでしょうかね。
そういった意味での中世から近世への転換期、と捉えられている。
それが証拠に、今の教科書などで見るとこんな表現があります。
ルネサンスは何をもたらしたか-
「人間性の自由・解放」
ルネサンスの絵画や彫刻の生き生きとした人間のありさま、そこからしても中世とは違うという
中世は神ありき、で人間性が抑圧されていた、と。
そうしますとそこから、自由な「感情表現」が可能になってくる

また、ルネサンスというと個人が思い浮かびません?
個人(個性)の主張

つまり
ルネサンスは(中世から近世への転換は)
人間を「進歩」させた、という意義から重視されている。

ここで、私が考えて見たいのは、
本当にそうなのか、と。
ルネサンスの進歩的意義の強調だけでいいのか?
確かに、新しい時代をもたらした出来事ではあるかと思いますが、
ある時代からある時代への転換と言うのは、
ルネサンス含め、進歩という言葉で単純に言えるものではないのではないか。

こういう見方では、結局、中世の否定ということが生まれてしまう。
転換のありさまはもっと複雑ではないのか。

次回から、まず、従来のルネサンス論をご紹介します。

私が一番不思議だなと単純に思うのは
「ルネサンス」という言葉―Renaissance
ヨーロッパの歴史上の出来事をさすときは大文字のRから始まります。
一般的な意味で、小文字のrから始まる用法もあります。
これ元は何語でしょうか?
フランス語、です。
この運動はイタリアから発祥したものですが、なぜフランス語で?

ここには背景がありまして-
ルネサンスという語が、14世紀~16世紀にかけての文化的な潮流を表すようになった、
このことについても一つの歴史があるわけです。
次回はまずここのお話から入って、
最近のルネサンス論もご紹介して、
それからいよいよ中世末期からの話をしたいと。

今回は、結構、色々なルネサンス人を取上げますので、
面白い人がたくさん、
人間って合理的には説明できないというのがありますよね、そういうのも醸し出していて
ルネサンス人は魅力的だなと。
ルネサンス人が、世界・人間をどういうふうに見ようとしたのか、ということをちょっと考えてみたいと

最後の方は、
折角ですから、
宗教改革、大航海時代との関連についてもお話したいと、
これは重要な関連があるわけです。
関連することでルネサンスが終わる、という事でもあるわけですが。
そこまで話せたら良いなと思うわけですが。


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