2011年9月22日木曜日

家族療法‐1 3つの視点/システム思考

2限 252 石井千賀子

●3つの視点(文脈・言動・ものの見方)
 直線的思考―システム思考

おはようございます。
皆さんは今週から授業ですか?
この学校は震災後すぐに4月から始まったんですよね?
私は前期もう一つの学校で教えていたんですが(東京女子大)
そちらでは開講が遅れて-

「支援者のための支援」ということで仙台に行っていたりしました。
改めてその中でも家族という事を-
そんなことがこのクラスに生かしていけたらと

そんなわけで私は、
心理療法の中でも家族にカウンセリングをするということを中心にしています。
日本では多くの場合、個人のカウンセリングから入りますが、
私は最初から家族の方に。
クラスでは皆さんと一緒に、家族の持っている力というものを、
一緒に見つけて、援助する、支援するということを願っています。

*レジュメ配布

どのような形にせよみなさん家族を持っているわけで-
今の自分の行動考え方に関連しています。
その辺に気づくことで、より自分を見直すことのチャンスになるかと思います。

●レポート告知
まず最初にこの授業は試験ではないです。レポートです。
そのレポートは、家族ということを考えると、自分の家族がどうしても入ってくるので
差し支えなければ自分の家族に対して、この授業の視点から書き
今後人を援助するときの姿勢、見方を確認するということをレポートの中でお願いします
自分の家族を見るのがきつい人がいたらおっしゃってください。
別な、小説などのの中の家族を通して見直して-

・評価
毎回フィードバックを書いていただきます。
授業内容のまとめと自分の感じ方を書いていただいて、私が目を通して、
それに関連して伝えることがあれば、伝えることも。
ですので、フィードバックも重要です。

体験学習的なこと、ディスカッション、ロールプレイもあるので積極的に参加してください。
私が喋って終りという事はほとんどないです。

それからシラバスの予習・復習の項目で、
小説やあるいはTVドラマ、色んな題材を見ながら家族について考えて-
自分の家族だけではなく、
どういう家族があって、その人の悩みがあるのかという事を考えていただきたい。
はじめは推測であっても、それがシステム的な見方に-
仮説を立てて確認していく見方につながっていきますので。

出来れば一つ、ドラマや小説の気になる家族について、
このクラスを通して考えることをお勧めします。

では、この授業の進めかた、流れを確認しましょう

(あ、ではまず出席をとってから。)
この大学で16年くらい教えているんですが、
最近-、授業中に出たり入ったりする人が多いですがー
(ひとしきり注意)
*レジュメの説明

家族療法の視点
見方、ケースに応じた見方を取上げていこうと。
ですので、色んな学派がありますが、3つの視点からまとめます。
全体を統合してお伝えします。
別な言い方すると、私も毎週、ご夫婦だったり家族、個人のカウンセリングを行っていますが、家族療法の視点を持ちながら。

色んな学派がありますが、家族の歴史の確認、どんな会話があっていまこの問題が続いているか、
このクラスで説明していくのは実際臨床をしていて用いている視点です。統合的な
学派がたくさんありますが、全体的にみて、ケースによって使い分けるのが現在の主流です。


まず、
「システム」という考え方。これを来週に。

あ、もうひとつ。
前期に家族心理学とった人はどのくらいいますか?
その考え方、システム論を元にして
(去年は前期でこの2つのコマが同時でしたが、今年からは分けてもらいました)

システム論、非常にひろがりがあるので分かりにくいですが、使い勝手の良い概念です。
その中に見られる家族の「ストレス」とも言えるし「資源」ともいえる。

私は3人兄弟の真ん中で、父親が強かった。
私は父と長子の考え方に対する反発があって-
自分の今のやりかた、というものが育った家族の仲での
いつも目をかけてもらえなかったことのストレスと、
 したいことのできる立場」
(ストレス-資源)

置かれている立場のプラスとマイナス。
両方をシステムの中で見つけていき、
マイナスはその人が感じていることを共感的にきくが、
プラスの見方を取り入れられる可能性があるかを一緒に考えていく。
家族の中―多世代的、縦の資源、ストレス-

・家族ってずーっと同じかな?それとも変わるかしら?
『家族ライフサイクル』
つまり家族も個人と同様にライフサイクルがあり、
それによって一部変わるし、変わらないものもある。
別な言い方をすると、個人は変わるのを無理なくスムースに出来る。
しかし家族というのは、変わるのが結構大変。って考えてください。

私も息子が二人いてもう社会人で、孫もいますが、
私がまず、結婚した時、成人で一人でいて、自立しようというとき
結婚して家庭を持ったとき、
子どもを持ったとき、子育て期、
今度、子どもが成長して思春期、
など、
自分の家族としてのあり方が、どれだけ自分が手を貸さなくてはならないか、変わってくる。
家族が変わらなくてはならない。
個人の時よりは家族が変わっていくほうが、ストレスになりますが、重要な事です。
その辺のことを「横のストレス-資源」と言っています。

標準的に変わっていくのか、
あるいは今年の東日本大震災のように急に失ってしまうのか、
それが個人にどれくらい、家族全体にどれくらい負担になるのか。

あるいは、家族の中に病気がちな人がいる、
というようなことが他のメンバーにどのように影響するか、ということもありますね。

という訳で「家族システム」を来週やります。

今度は家族をとらえる3つの視点、小説の中の家族(グループでも、個人でも)
家族を思い描いてこのくらすを追っていただくとわかりやすいかなと。

3つの視点の一つ目。
1)文脈(コンテクスト・歴史)の視点
これを最初に取上げます。本によっては「言動の視点」を最初に挙げることもありますが、
私は家族の全体像を掴むことを最初にしたほうがわかりやすい、ということで。

で、文脈を見るときに、使う道具
ふつう、ケースをやるときに、家族の歴史を知ろうとする時に、
家族図、世代観図-「ジェノグラム」
どんなケースを見るときでも、(ドラマを見るときにでも)
書き足したり訂正したりしながら。
それからもう一つ、文脈な視点を見るときに
先ほど話していた「家族ライフサイクル」今どのような段階にあるか。
だいたい6段階に分けますが、
それからこのクラスでもう一つ使うのが、
家族造形法
これはグループでやる作業なので、こうした体験の場でやると家族が立体的に見えてきます。

(それから10.27日は学会のためにオーストラリアに行っているので
 DVD「リバーランズスルーイット」を鑑賞していただきます。)

それから二つ目の視点
2)言動・コミュニケーションの視点
個人カウンセリングだと自分の気持ちに非常に焦点を当てますね、
自分の日常生活での悩みを、
人とのかかわりの中で、コミュニケーションレベルで見る
という事は普段あまりないかと思います。
しかし家族療法では「どんなコミュニケーションをしているか」を重んじます。

その中で、カウンセラーと母、カウンセラーと子が喋りますが、
それだけではなく、家族の中での会話、
特有な言い方、やり取りが見えることも起こりえますね、言動のレベルが見えてきやすい。
つまり、言葉を変えていくと、何が変わってくるのか、と。

一見、上っ面なところを換えると思われる方もあるかとおもいますが、
是非、ご期待ください、私は好きです。
気持ちの面は変化に時間がかかりますが、
言動・コミュニケーションのレベルを変えることはあまり無理のない問題解決につながる。

*行動療法的?

相手を責めてしまうとき、
そのとき自分はどのように言葉がけをしているのか、ということを見ていく。

自分の変化のきっかけを見ていきやすい。
また、相手の変化というよりも
「自分がどう変わったら、相手が変わる可能性があるか」ということを狙っていきます。
変化は自分のコミュニケーションをどう変えられるか、がまず。
そして自分が、どのような場面で、どのように変わりたいか。

「解決志向」という言葉を聞いたことはありますか?
「例外探し」という考え方はこの解決志向です。
例外的にでも上手くいったときのやりかたを-

コミュニケーションレベルの、それでも上手く解決できない時には
「心理教育」という言葉をつかいますが、
福祉の人だとSST、ご存知ですか?
福祉の場合だと、スキルを教えると(前田ケイ先生が有名ですが)
病院、デイケアなどで使いますが、
自分をどう扱うか、どう耳を傾けるか、
カウンセラーとしてそれをお手伝いしていく。
それが心理教育、と。

その中に自己表現「私メッセージ」「アサーション」
相手の気持ちを汲む「傾聴」「能動的聞き方」「アクティブリスニング」

家族のコミュニケーションの中に変化をもたらすので、ロールプレイをやったります。

プリントの最後の方に「レポートの説明」と書きましたが、
こんなふうに視点の話をしつつ、自分の家族について考える機会があれば徐々に―
アウトラインをだしますので、こんな角度から書いてみてくださいという事を挙げますので、
それに沿って書いていただくと。
その説明を11月の末に。

12月の末には、
3)ものの見方・考え方の視点
これについて入っていきます。
つまり、カウンセラーの考え方の場合もありますし、
まずカウンセラー自身が「なんでこんなことで悩んでいるの?」
とおもっていたら上手く援助はできません。
あるいは、クライエントが「親が悪い、自分は絶対悪くない」
と思っていると平行線になりかねません。

そこにどう変化をもたらすか。
今起こっていることのプラス面を見つつ、
ちょっと今まで持っていた考え方と違った見方が出来るように促していく

そこに、最後に、平静さへの祈り、とも書きましたが
アメリカでAAで用いられている祈りですね。
「変えられるものを変えらる強さを、
 変えられないものを受け入れる勇気を
 そして両者の違いを見分けられる知恵を」

そして1月、皆さんと全体でロールプレイをしたいのですが、
リフレクティング・チーム・アプローチによるロールプレイ
つまり、いろんな考え方を、カウンセラーが一人の時だとクライエントに伝えにくいですが、
カウンセラーがチームでいるとまた別の関わりが出来ます。

ノルウェーからスタートした、考え方、実践のしかた、研修にも非常に使われます
このやり方をみんなで90分でやってみようと。
私今までは学部では無理だと思っていましたが、
去年のクラスの時に、補講の際にやってみたら上手く言ったんです。
ですのでこれを最後に

そして一番最後に、今学期のまとめ、振り返り、レポート提出と。
アウトラインをはっきり出します。3まで、ですので簡潔に書いてください。

●(質問)
コミュニケーション、言動の視点においては、家族療法に行動療法が入っている。
文脈の視点では、過去も取り扱います。

80年代から、言動コミュの視点を取り入れる動き
しかしそれだけでは無理が―ジェノグラムなど(もともと家系図の伝統が日本では)

本来の歴史としては
文脈→コミュ→ものの見方/考え方の視点という発展のしかた
*精神分析、行動主義、認知心理学、みたいな流れと重なるのか?

では、レジュメの裏に入って―

ここには違いが入ってきました。
その後にグループディスカッションをしていただいて―

○伝統的なカウンセリングと家族療法
この2つの大きな違いは、直線的思考システム思考かということ。

*先生、奥の席に寝ている学生をたたき起こしてプリントを読ませる―
 しかもその前の状況も丁寧に説明して―。すごいな。
 かなり積極的に関わりをもとうとする先生だ)

・伝統的カウンセリング
―直線的思考:IPの症状を原因・結果で考える。=問題を「取り除く」ように考える。

・家族療法
―個人、家族はそれぞれを取り巻く環境と連鎖的、循環的な相互影響関係を持っているため、問題や症状は家族などの環境に深く組み込まれているとする。システム的な概念を取り入れて援助することを目指す

システム思考視点の拡大および転換―問題解決に用いられる。
援助には複数のルート(介入の複数のルート)が描ける(なにをクライエント家族が望むか)
家族の一人が小さな変化を起こすことによりスステム内に「変化のさざなみ」を広げることも

動きやすいところから動かすということもある(オプティミスティックな考え方とも)

もうひとつ、
家族はシステムなので、システム内のルールがある。

(終鈴)

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