2011年11月10日木曜日

精神医学‐6 精神障害の原因と分類/主要な精神障害・神経症状1

1限 252 丸山晋 *904教室着


『精神医学入門』柄沢昭秀(中央法規出版;改訂版, 2006)
  
●第Ⅱ章精神障害の原因と分類(P23

Ⅱ‐1 精神障害の原因と原因別分類

・精神病(疾患)と精神障害の違い
 病(疾患)としてのあらわれillnessと、生活の困難としてのdisorder
 
 人間は心身社会的(socio-psycho-somatic)な統一的(entity)存在である。
 最近の精神医学領域では疾患より障害という言葉が多用される傾向にある。
 DSMICDでも専らdisorderの語が用いられている。

・精神障害の3つの要因
  素因(内因)endogenous/身体因(外因)exogenous/心因 psychogenic
 ・先生は内因を「体質」という言葉で説明している。
 ・内因は遺伝と関係が深いが、遺伝性と同義ではない。
  環境条件の影響を受けて獲得される素質も少なくない。
 ・内因はまだ十分には解明し尽くされていない。

・内因性精神障害
素質が主因で起こる精神障害ということだが、その素質が何かがよく分かっていないので、結局、身体因性でものなく心因性でもない原因のよくわからない精神障害ということになる。
 ・統合失調症/躁病/うつ病など重要な精神疾患がこれに属する。

・外因性精神障害
 原因的に見れば身体的障害ともいえる。
 ・アルツハイマー病、ピック病などの脳変性疾患や脳血管障害、感染症、ガン、代謝疾患、内分泌疾患、栄養障害、ADL低下、アルコールや薬物によるもの。

・心因性精神障害
強い心理的打撃によって生じた明白な精神障害を心因反応
(たとえば、抑うつ反応、妄想反応、心因性錯乱など)と呼び、
慢性の精神葛藤や欲求不満に起因するものを神経症
(たとえば、恐怖症、不安神経症、強迫神経症、抑うつ神経症など)と呼んで区別することもある。
最近のICDDSMの分類には「心因反応」や「神経症」という名称は見当たらない。違った名称で分散・分類されている。しかし「心因性精神障害」とみなされる一群が存在することは確かであり、それを認識することは臨床的に大変重要である。

従来は原因を上記の3原因別に分類していたが
内因性という用語の概念がわかりにくいことから、近年この言葉の使用を避けて
精神障害を
・器質性精神障害 organic   (=外因性)
・機能性精神障害 functional(=内因性+心因性)
2つに分類する方法も広く認められている。

心には「形」と「働き」の二つの側面がある。
人を愛するという時に、愛という形、愛という働きの両面がある。
形の異常が器質的精神障害、働きの異常が機能性精神障害
*いまいちよく分からんたとえだな。愛という心の形って?

器質という事をもっとせめて言えば、脳の細胞の異変によっておこった精神障害
自動車に例えると、部品が壊れて車が動かない状態。
それに対して、脳細胞は正常だけど連結が悪いとか、働きが滞っているのは機能性精神障害。
自動車なら部品は問題ないが、オイル系統、電気系統がうまく機能していなくて動かない状態。

・精神障害と神経症の違い。
神経症とは、言わば我々の正常な心の機能のある範囲が「拡大しちゃった」というような状態。
皆さんでも条件次第ではこうなりうる。
これに対して、皆さんが精神病になるかというと、ある種のバリアがあって、
皆さんがたとえ努力したとしてもなりえない領域がある。

何が言いたいかというと、ノイローゼや神経症は「量の違い」なんですよ。
たとえば心配の量が多ければそうなる。
しかし精神疾患は「質の違い」なんです。
例えば、統合失調症は若い頃の発病が多いのだが、
これは木に竹を接いだような状態になる。そこから急に質が違ってしまう。
知的発達障害においては、発達の速度が著しく遅れてしまう、と。

Ⅱ‐2 精神障害の国際的分類と診断基準
国際的な分類の大きな意義は
、診断者の主観的判断や文化圏、学派による疾病観や疾病概念の違いによる
診断の不一致による不都合を避けられること

成因などはあまり問題にせず、もっぱら病像と経過により
それらが一定の条件を満たした場合にその障害を特定する。
これにしたがえば人による診断の不一致は少なくなる。

Ⅱ‐21 ICD-10
ICD (International Classification of Disease) 国際疾病分類
 現在はICD10。第10版ということですね。(本来は10年に一回の改訂予定だったが‐)
WHOによる。

これは精神障害のみの分類ではない。
病気全体の分類とナンバリング。
このうちで精神障害は
F8(副題:精神と行動の異常)にあたる。
この中でさらにF0からF9(+F99)に分かれる、と。

ICDによる分類は当初は貧弱であったが、DSMの影響を受けて大幅に改正され、最新版の内容はDSMとかなり似通ったものになっている。ただ個々の障害の診断基準はDSMとことなり、ガイドラインの形で示されている。

Ⅱ‐22 DSM-Ⅳ‐TR
Diagnostic & Statistic Manual of Mental Disorders

DSMの特徴の一つとして、合併症の記述。
うつ病の人であると糖尿病を持っていることが多かったりするが、それについての記載や
認知症と高血圧の関係(特に血管性の認知症)
その人の置かれているストレス度が描かれている。
また、その人の社会適応度についても。

こういうものが病名以外にも足し算的に追加されることになるから、
分類がより細かくなるというのがDSMⅣの特徴です。
また、DSMは精神障害のみに関する分類なのでそこもICDとの違い


●第Ⅲ章 主要な精神障害・神経症状(P29
ここからは各論に入っていきます。

Ⅲ‐1 意識の異常

Ⅲ‐11 意識混濁
カントの言うところの精神の「知情意」
このうちの意、意識が正常な状態が、言わば「意識清明」
それに対して意識が暗くなっている状態を「昏睡」(coma)と呼ぶ。

この意識清明と昏睡の間の状態が「意識混濁」。
せん妄(delirium)というのは、本来は比較軽い意識混濁に錯覚や幻覚、興奮を伴った一種の錯乱状態のことであったが、最近は昏睡より軽い意識混濁をすべてこう呼ぶこともある。

Ⅲ‐12 もうろう状態
「もうろう状態」(twilight state)英語の説明の仕方は黄昏時ということですね。
脳の意識野が収縮した状態で、意識混濁を伴うことも伴わないこともある
突然奇妙な行動があらわれしばらくして修まるが、通常その間の記憶はない。
脳障害、とくに転換の発作症状として現れることが多い。

Ⅲ‐2 知覚の異常
普通は刺激があって、それが五感に対応する各感覚器に伝わって感覚が発生する。
ところが、刺激無しに感覚が発生する場合がある。
これを幻の知覚と言って、幻覚と言います。

ある対象を間違って知覚するのは錯覚(illusion)
何も対象がないのにはっきりあると知覚するのが幻覚(hallucination)です。

幻聴が一番多いですね。(次いで幻視。幻味、幻嗅、幻触はあまりない)
統合失調症の人に多いですね。
聞こえる内容は悪口とかが多いですが、中にはハッピーな内容のが聞こえてくるものもあります。
刺激なしに聞こえてくるわけですから、これは耳をふさいでも聞こえてくるんです。

Ⅲ‐3の自我意識の異常
は時間が来てしまったので来週にしましょう。

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