*M 19時頃学校に到着。池袋の雑居ビル3F
中はまぁこぎれい、駅前の小さな塾の感じ。小さめの教室が2,3個あるのか。
自分たちが説明を受けたのは。9人ほどの部屋。机がきれいなのは良い。
自分達2名を合わせて4名で受講。
●
今日は、臨床心理学科の学生の方はいらっしゃいますか?
(いる)
では、まぁざっとで行きましょう。
まずは、臨床心理士資格について。
○臨床心理士資格とは
・文科省認定の民間資格
河合隼雄の主導のもとに(河合は高校の数学教師をしていたこともあった)ユング心理学
心理臨床学会を設立、ここが中心となって専門資格化
精神力動論・人間性心理学の流派に属する人たちが中心になって
1980年代後半から資格制度を
一方、臨床心理学会においては、専門資格化反対の流れ
カウンセリングに資格が必要と言うのは正しいのか?という考え方
東大、早稲田、慶応-実証主義、CBT
基本的には今の臨床心理学会にCBT系の人が少ないのはこういう流れがあるから。
なので、資格試験の問題(出題傾向)も精神力動、人間性心理学に寄りがち
(今は東大や早稲田も臨床心理士の資格指定校にはなったが)
○職域:学校教育
・スクールカウンセラーいまのところ国公立の中高:週に1回各校に勤務
各行政単位ごとの教育委員会で採用
結果としてだいたい週4日で月25万円程度。
1年毎の契約更新
SCの仕事内容:コンサルテーションと、教職員、PTAの心理教育(予防)が中心
個々の児童生徒とかかわることは難しい面も
-別に教育相談員、心理相談員が配置されている
SCは学校全体の統括的な仕事が多い。
・教職員、保護者とのコミュニケーションが求められる
短期療法的なアプローチ
スキル、経験が少ないとなかなか頼られることがない(修士でてすぐにSCにというのは稀)
・心理相談員国公立、週に2,3回各校に勤務
教育委員会で採用、月15万程度
教員の補助としての役割。児童、生徒と直接教育相談室で対応する。
あくまでもSCや教職員の指示のもとで働く
若いうちは心理相談員をかけもちして、スキルを高めてSCになる、というのは多いパターン
この状況だと生活は不安定、医療系のほかの仕事と掛け持ち、など。
(教育相談・心理相談は臨床心理士資格がなくても出来る仕事、教職員のOB,地域の人がなっていることも)
都心部、23区内だと、世田谷、杉並ではそんなに大きな応募がない
治安がよく働きやすいので、スキルがある人はやめない。したがって倍率が何十倍となる。
下町系だと問題がおおいので人の入れ替わりが多い。
総じて首都圏は基本的に倍率が高い。
上記の仕事は毎年欠かさず募集がある仕事。
・軽度発達障害への対応について
2,3年前から、特別支援教育というシステムが出来ていて
これは軽度発達障害の人たちを(LD,ADHD,高機能自閉症)支援するための、集団指導+個別指導
(学校の授業に、知能以外の問題で、ついていくことが困難)
個々のニーズに合わせた教育。
チームティーチング
・特別支援教育コーディネーター(基本的には障害児教育の専門家)
・スクールカウンセラー(心理社会的なストレス、不安、適応上の問題の専門家)
・学級担任/教科担任
・個別指導対応の教員
基本的には上の4人でチームを組んで対策にあたる
軽度発達障害における問題点
自分ができていないことがわかるだけにストレスがたまりやすい、ここから認知的な問題をうむことも
-軽度発達支援に関する知識があると言う事は、特別支援教育コーディネーターの役割を担えるということなので、こういう知識があることは、SCになりやすいことにもつながる。
・学生相談員(大学)
この仕事に就くには、短大・大学での教授陣とのコネクションが大事だったりする。
多くの場合、臨床心理学の博士課程を出ている人が多い
(母校のアルバイトという事でなくやる場合)
以上が教育関連の職域、と。
○医療領域
厚生労働省の管轄
→基本的には保険点数も取れないし、臨床心理学に深い理解のあるところしか募集しない。
人件費的にみてもカットされやすい立場。募集の数も少ない。
進学した大学院での精神科医、心療内科医、あるいは医療系で長年働いてきた心理士がいて
このようなひとたちとのつながり、情報を通して就職という形になることが多い。
もし、医療系にどうしても行きたいなら、そういうつながりを持っている人がいる大学院を選ぶべき。
かつ、求められるスキル
医療行為は医師しか出来ない。ということは、診断のための情報収集が主な役目
つまり心理臨床アセスメントができるかどうか
多くの場合、ロールシャッハテスト(心理系で保険点数が高く、医師は出来ないことが多い)が出来る
あるいは、有名どころの投影法をきちんとできることが必要
また、知能検査(特にウェクスラー式)がきちんと取れるか。そうでない場合は、数量的なデータの分析が出来るかどうか。
(学会報告に耐えられるレベルのもの)
また、立場としては治療の補助
もともと医療領域で求められるのは精神分析(精神分析心理療法)
なぜならば、薬物療法で上手くいかないと思っている医師が臨床心理に関心を持つので
精神分析が求められる-無意識の葛藤を洞察できる。
また認知行動療法(CBT)、うつの復職支援(適応的なスキルの獲得)、グループアプローチ
基本的には人間性心理学が好きな人が多いですが、これはなかなか医療には向かない(人間成長、とかだから)
また、当初2,3年は非常勤から(週2,3日)はじまって、常勤にいたる
当初は月15万弱とか。
都市部、企業が多いと、うつの復職支援という仕事がでてくる。
またカウンセリングも都心部の病院の方が多い(離れると少なくなる)
○福祉領域
・児童福祉領域と家族福祉領域⇒虐待(DV)関連
児童福祉施設で働く、という形。本来であれば公務員試験を受けるのが早道。
そうでなければ年度末に各施設ごとに若干名採用のような形が多い。
このような募集においては、コネクション、情報網が重要。
児童福祉関連でずっとやってきました的な専門の先生がいる大学院にいったほうが可能性は高い。
また、1年ごとの契約更新という形。スキルや能力がないと判断されれば継続されない。
院生の間に児童福祉関連の実習を行っておくことは必須
ばあいによってはPSWを持っていると就職しやすいことも
・高齢者福祉
この分野は企業がやっているので、採用は企業単位、となると国家試験優先の採用が多い。
したがって数は少ない。
老年心理学を専門にする教授のコネ、情報
○産業領域
これも厚労省の管轄。
基本的に大企業であれば、メンタルヘルス対策を行っているので、
精神科医、看護師+臨床心理士ということがある。そもそも、今不景気なので-
直接臨床心理士と契約している企業は少ない
ということで
キャリアカウンセリング、産業カウンセリングの知識、スキルが求められる
(あくまで企業の中での自己実現の動機づけ
臨床心理士はストレッサーに近づかないほうが・・・ということになる
・EAP事業
企業を横断する形でのメンタルヘルスケア。
NPO、中小企業が主体。
登録した心理士を派遣する。
企業でのメンタルケアをやりたいなら、医療での「復職支援プログラム」を行っているメンタルクリニックに就職した方が実際にこういうことを出来る可能性が高い。
(産業心理学関連と臨床心理学は仲が悪いので・・・)CBTが求められやすい
○一応、名目上は、司法領域があるという話ですが、これは公務員試験が必須。
●
実際には各領域で求められるスキルは異なるのでそれに応じた大学院選びが大事。
また、志望理由を問われる際に、どのような領域で働きたいかは明確になっている必要がある。(そこが問われる。)研究計画も自ずとそれに沿った形。
●
○大学院制度
一種指定と二種指定
一種指定:修士修了後、その俊の月に資格試験が受験可能
二種指定:修士修了後、1年間の実習を経て資格試験受験可能
何故このような種別があるか、
環境面での理由、
一種は、臨床心理学のコースの独立、相談室の独立、臨床心理士が5名以上というような基準
これにあわないと二種指定
(募集人数が30名以上ともなると、よほど学生が主体的に先生にアプローチしないと関わりを得られない)
二種指定(募集人数が少ないところがおおい)
歴史があって、人数が少ない、面倒見が良いという場合も
実際に実習先に困ることはない。
先生を選ぶ、ということにおいては、専任講師以上で見るのが基本
○入試
実践家養成がメインか
研究者養成(国公立、早稲田、上智、ICU、筑波など)がメインかというのが大きな違い
・研究者養成校の出題傾向
論述中心、
事例理解、
アセスメント(結構込み入ったやつが)、
データに基づく研究計画の立案
統計データの読み取り=研究者としてデータ処理が出来るか、論文を読み取れるか、を問われる。
学会誌の分析の分散分析、PAS回帰、そういったデータから、
何が問題かを考察、何が読み取れるか
テストバッテリーの組み方、
治療者とクライエントのやり取りから転移・逆転移の関係を読み取らせる
(単純に語句を覚えているだけじゃ解けない)
語句説明―基本的にはそこにいる先生の専門の語句が出る。(通常の語句リストにはないような、あるいは基礎心理系の語句とか)
統計に関する論述、第1種エラーと第2種エラーの違い、そこからその統計的な意味
交互作用の持つ意味、=研究の時に使える知識を持っているか。
ICUは基本的には小谷先生が精神分析の中心なので、精神分析に関する論述、
あとは基本的なCBT
早稲田はCBTしかやらないようなところなのでDSM関連が問題に出やすい。
上智-ユング関連の細かい問題。力動論、福祉系の語句説明
研究者養成だと特に、出題傾向の偏りがおおきい。
=出題傾向が似ている受験バッテリーを組めなければ勉強する範囲が広く大変
・英語
基本的には学会誌レベルのもの。
ここでも先生の好み、研究傾向を抑えておくことは必須
また、ICU、筑波になると、英語読解+英作文。
学会論文はAbstractを英語で書かなければならないので、英作は必須。
上智も英語の量がとても多いです。
基本的には入試は英語が基準なので、ここを突破しないと専門の点数まで見てもらえない。
(足きりがある)
・実践家養成系の出題傾向
語句説明が5,6題
論述が2,3題
基本的な内容が出ます。
論述(むつかしめのところだと)事例のアセスメント、治療者の倫理、治療関係
=現場で使える知識かどうか。
すごく簡単なものだと、ロジャーズの3用件を臨床場面に則してこたえよ
臨床心理の倫理を具体的に説明せよ。
事例のアセスメント、主訴の内容から、症状、病名を特定するためのアセスメントをせよ、と
最近増えているのは、データに基づく研究計画の立案、みたいなものが増えています。
基本的な臨床心理士のモデル。科学者-実践家モデルに基づいた形
なので、仮説、変数と変数の関係というような統計のことまで含んだ研究計画、ということが求められる。
ただ、研究者養成に比べれば楽、
・英語
臨床心理に関する基本的な英語。
たいてい長文が2,3(一個が全訳、1,2個部分訳)
学校のレベルによって英語の両に差があります。
たとえば、一番簡単なところだと、大正大学(英語が一番簡単)
人間学研究科で共通の英語-下手すると大学入試よりも簡単な英語
なので大正大学だと英語はほぼ100点取らないと
また、明治学院だと英語量が多い、速読力が問われる
学習院、心理学科共通、臨床心理学科の英語、と2回分の英語が。
いかに心理学らしく、日本語らしく訳せるか、がポイント。
あまり文法チックな直訳ということではまずい。
日本語の心理学の知識を増やしておくことで補えることも多い(語彙)実際知らない単語が出てきても、推論の出来る状況を作る。
基本的には、英語が少なくとも7割取れてないと落ちる。
専門も6,7割は(学校によっては8割)とれてないと落ちる。
差がつくのは英語。
・専門職大学院の出題傾向
現場で必要な基礎的概念を書かせる
論述は、現場でその知識が使えるか。
いくつか分野が分かれていて、その中から
九州大学はTOEIC、できれば700点は。
専門職大学院は、専門家をつくるということなので、修士論文はかかない。
現場で使える応用的な知識を問う、と。
基本的には現場で働いている人を入試で取る傾向。
また、社会人入試、基本的には臨床に関する現場にいる人をとるための制度なので、
かつ若干名しかとらないので。よほど現場できちんとしたことをやっています、でないと-
学校によって語句説明の出し方も異なる
例えば目白大学とかだと浅く広く(選択式)
立正大学とかだと臨床関連の語句しかでない、とか。
中心になる先生が変わると、出題傾向が大きく変わる可能性がある。
教授陣の異動については知っておいた方が良い。
英語に使えそうな教材
・ヒルガードのイントロダクションサイコロジー
アブストラクトを一通り、アセスメントこの本は和訳は出ているが、ゼミ生に訳させていることもあり、日本語訳がこなれていない。
自分で訳してみて照らし合わせるのも良いかもしれない。
長文読解のための構文理解(分詞構文、無生物主語、)をすすめたほうがいい。
単語に関しては単語集の難しい方から-
○面接
通常、1次と2次、分かれている場合は、最終合格者の倍くらいとって、2次試験を受けさせる。
そして、例えば筆記テスト上位7人まではよほどのことがなければ合格。
筆記の7、8番から15,16番までの人の間で、圧迫面接的に聞いていって、順番をつける
それはストレス耐性、欲求不満耐性を見ているという面もある。
何のために臨床心理士になりたくて、○○のスキルが必要だから、
この学校の先生、カリキュラムの特徴のためにこの学校に来たい、という説明が必要。
研究計画も将来設計にそくしたもの。
また、問題も臨床心理学的な問題。
(たとえばアイデンティティ、ということだと発達心理学の課題なので、そこと臨床との関連をいえないとまずい)
そもそも自分がどんな問題を解決したいのか?ということが見える研究計画でないと。
また、臨床心理士としての立場に即した答え方
(学校教育批判とか哲学的な話というのは、違う学科に行けばよいということになってしまいがち)
よくある
「臨床心理学的な問題設定の仕方」
それから
よく言われるのは、事例研究をやりたいです、というのは入試のためのもの
まず研究法が分かっているかが問われている。また実現できることを書いているのかということ、
なので治療効果云々のことを言うと、それが修士レベルで出来ることなのかを突っ込まれてしまう。
(アナログ研究-健常者を使った研究ならよいが-)
自分がサンプルやデータを集められるのかどうか、が問題。
(小学校の不登校、じゃあそのデータをどうやって集めるの?という
確実でなくても良いので、あてがありますといえるかどうか)
フィールドリサーチの「フィールド」を自分で確保できるかどうか。
フリースクール、とかだと、そのフリースクールが確保できますか、と。
早いうちにある程度のつながりをつくろうとすることが大事
参加観察ができる関係性(仲間であることが前提)
それから、研究計画の際に、自分の(病理的な)問題をとりあげるのは絶対やめたほうが良い。
まず治してからこい、ということになる。
統計的に有意なデータ、と言えるのは、100名くらい集められるかどうか、
実験なら2,30人でも
当然、先行研究を押さえて置く必要性。
そう考えると研究計画を立てるのは結構時間がかかる。
卒論書きながらそれに関したことの計画を書くにしても3ヶ月はかかる。
質的研究法をやりたいです、という場合は
何のためにやるかをいえないと
変数を特定できないから、そうなのか
主観的変化を知りたいから、なのか。
質的研究法にあうテーマなのかどうか
グラウンデッドセオリーの説明は必須
基本的には数量的なアプローチの計画の方が無難。
(心理学はそもそも科学としてのアプローチ)
特に先生方は
何でこのことに関心を?
目的と方法を突っ込まれる。(目的に合う方法なのか)
どういった尺度をつかうのか、も重要。尺度の構成概念が分かっているかを問われる。例えば、家族関係という場合に、親子関係なのかシステム論的な家族か、で全然使う尺度も違う。
尺度によって使える統計の分析方法も変わってくる、そこの点も押さえられているか。
ある意味完璧に答えられないことも前提で突っ込んではくる。
自分の知っていること、勉強したことをきちんといえるか、
否定的なこと(知らないこと)を認められるか。
コミュニケーション、反応も見られている。
たいてい大学院はM1の時に40単位以上とることをもとめられる(週5、6)
(バイトをやって生計立てます、は無理)
夜間のところはまた別だが。(それにしても土曜日は昼があったり)
社会人で男性で30代後半以上は徐々に厳しくなる
(男性は比較的経験則で判断しがちになる-アドバイスすることになれている、ということ柔軟性が問われる)
参考図書
ミネルヴァの「よくわかる」シリーズ(心理、臨床心理、コミュニティ心理学、心理統計)
○大学院進学塾の説明
ここは、こういう感じで大きくても9人くらい
心理学の1,2、英語のコース
心理1は基礎心理学系を講義形式(7ヶ月)
心理2、臨床に直結すること、アセスメントなど講義形式
余裕があればその後個別授業で問題を解く、過去問を解く、アウトプットする練習
通常授業は100分、研究計画は50分
(基礎的なことからやる人は3年生の秋くらいから来る場合が一般的か)
基本的には修士課程以上の人が講師を務める
(*M この説明会で話してくれている先生は、博士課程後期まで出ていて
現場経験もある人-おそらくここの主任講師のようなひと)
●
最後まで質問も丁寧に受け答えをしてくれて
21時くらい頃に終了
いやー、とにかく情報量に圧倒されたし、やたら不安感もあおられてしまったが
勉強のモチベーションをあげるにはまぁよかったか。
しかし、よく考えると、自分はいま2年だからまぁ、まだいいが
3年の後期に入ってここの説明会を受けに来る人に対しては、
いい顔して塾のアピールをするよりも、
いかに今君達は勉強が足りていないのか、ハードルはこんなにも高いものか、を
率直かつ丁寧に伝えることが、塾の営業としては正解なんだろうなと思い至る。
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