2010年7月28日水曜日

神学通論レポート 神学と宗教学の違い


「神学」と「宗教学」との違いを説明しなさい。(1000字=43字×23行)

神学と宗教学は、考察、観察の対象を同じくする学問であるが、その目的は大きく異なる。  

宗教学は広い意味での社会学に属し、社会学とは人間社会を様々な側面からその構造や機能、そこで起こる現象を科学的に捉えようとする学問である。その中心的な考察対象は人間が関係する社会全般であり、その内に人間の信仰に関する営みである宗教も含まれる。

宗教学の対象は宗教であるが、宗教そのものという漠とした存在はない。研究は個別のキリスト教、イスラム教、仏教などの考察を通して行われる。また異なる宗教形態を比較考察する、比較宗教学という分野も存在する。

宗教学の研究に際して、研究対象となる宗教への信仰の有無は問われない。同じ社会学の一分野である政治学を例にとれば、政治学の専門家に政治家の適正を求められないことや、また政治家は必ずしも政治学を修めている必要はないことと同様である。宗教学者に要求されるのは客観的に、偏見なく、学問的な手続きに則って宗教を研究する姿勢であり、研究者の価値観は問われない。

これに対して神学は、社会現象としての宗教への関心から始まるものではない。神学は信仰者としての営みであり、教会の信仰の自己吟味、自己の信仰の反省という地点から出発する。つまり宗教学が外側からの客観的な学問であるのに対して、神学は信仰の「只中で」信仰を見ようとする学問である。

しかし神そのものは我々の通常の認識を超えた存在であり、それを直接論ずることは出来ない。その神を信じてきた教会がどのような信仰を受け継いできたか、という教会の信仰が研究に当たっての手がかりとなる。

神学とは信仰を通して、教義・歴史・信仰上の倫理などの研究、つまりは神についての研究を行う学問である。

・結論

宗教学が対象となる特定のの宗教の真理性を問うことなく、あくまで外側から一つの社会現象として扱う学問であるのに対し、神学はその宗教への信仰を前提として、神について考察する学問である。

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